演出に悩む事が度々ある。今の置かれている現状や、役者への言葉の伝え方、作品への魂の込め方、劇団の行く末……色々(笑)。野田秀樹様の傑作、『透明人間の蒸気(ゆげ)』を再び観た。野田秀樹の芝居には、ストレートなスピード&パワーを感じる。正直あのスピードに観客が完全に付いて行く事は不可能だ。いつも置いてきぼり(笑)。だから観客は付いて行こうと必死に考えながら鑑賞する。
しかし、遊眠社時代からだが、聞き取れない程の早口で、板の上を縦横無尽に走り回る野田秀樹には、歳月を経ても、迷いは全く感じられない。この人は死ぬまで、演劇界というフィールドを全速力で駆け続けるのだろう。己が生きる、活きる場所がそこにあるから。
僕のやるべき事、足りない物が見つかる。
そして、宮沢りえ。
素晴らしい。
語弊があるが、僕は役者の魅力は演技力ではないと思っている。映像で観ているにもかかわらず、宮沢りえが舞台奥から4.50メートル走って来るだけで、何故か涙が出そうになる。
一言一言、言霊を紡ぐだけで、体が洗われていく感じがする。
佇むだけで、鳥肌が立ちそうになる。
これを何て言うんだろうか?……儚さ?花がある?……そんな陳腐な表現じゃ失礼だ。………自分のボキャブラリーの無さを悲しく思う。
そして阿部サダヲ。何ともない台詞をクールな笑いにできる、本当に素敵な役者だ。
日曜日に、『透明人間の蒸気』と同じ劇場(新国立劇場中ホール)に芝居を観に行く。
また何かが変わるはずだ。
マイミクの皆様、全く一緒でごめんなさい(笑)。


